先日、ラヴクラフト原作のホラー映画祭
「クトゥルー怪談」を観に行った。
時間が取れないため、駆け足ではあるが、観てきた作品を紹介しよう。
ラヴクラフトやクトゥルー(クトゥルフ)に関する詳細は省くが、彼はアメリカの怪奇小説作家で、彼が生み出した作品、とりわけコズミックホラーにまつわる作品を総称して「クトゥルフ神話」と呼ぶようだ。
厳密にはクトゥルー神話とクトゥルフ神話は分けて考えるとされているが、カテゴライズが複雑で、大雑把にクトゥルー神話とする場合もある。
上映作品は下記の4作品で、途中に作家の菊池秀行氏と朝松健氏のトークショーがあった。
(〇)は俺が視聴した回。
・クトゥルーの呼び声(活弁上映) 〇
・怪談 呪いの霊魂
・宇宙からの色 〇
・トークショー 〇
・闇に囁くもの 〇
ラヴクラフトの小説作品を読んで、国内でクトゥルフ関連の事柄を調べるに辺り、必ず目にする日本の怪奇小説作家に「菊池秀行」と「朝松健」の両氏がいる。
彼らは日本のラヴクラフトスクールの作家でもある。
ラヴクラフトスクールとは、ラヴクラフトのアイデアを使い、クトゥルフ作品を生み出す創作者のことを主に指す言葉だ。
俳優の佐野史郎や学者の荒俣宏も同じである。
また、熱烈なラヴクラフトファンのことを「ラヴクラフティアン」と呼ぶ。
これはシャーロック・ホームズの熱烈なファンを「シャーロキアン」と呼ぶのと同じなんだとか。
上で詳細省くと言いつつ、かなり書き込んでるが、俺もラヴクラフトのファンなので仕方ないな・・・。
・・・さて。
「クトゥルーの呼び声」(2005年 アメリカ)
白黒の無声映画。
今回、特別に活動写真弁士の片岡一郎氏が館内で声を入れた!
死亡した叔父の所有物を整理していた男性が、その叔父が調査していたものを引き継いだことから悲劇が始まる。
若き芸術家が見た夢、叔父の調査、新聞の切り抜き、ある船員の日記、忌むべき邪神像、夢・・・。
ラヴクラフトの原作をほぼ忠実に再現しており、雰囲気は抜群である。
無駄を省き、とことんまで原作に沿って作ろうとしたのが功を奏したのかもしれない。
「宇宙からの色」(2010年 ドイツ)
白黒作品。(一部カラー)
ドイツのインディーズ作品。
失踪した父を捜しに、ドイツまでやってきた青年が知ることになる、ある恐るべき事実。
初老の男・アミが、青年に語る当時の回想によって物語が進んでいく。
物語冒頭、大戦末期だろうか、兵士と役目を終えたアミが自宅に戻ると、米兵数名が占領していた。
米兵の一人は青年の父だ。
米兵は、別の農場に行こうとするが、アミに止められる。だが米兵はアミも連れて、その農場に向かう。
だが、その農場は、かつてのアミの友人の農家で辺りは焼け野になっていた・・・。
原作とは違う始まりと終わりだが、物語の根幹部分はそのままで、原作に忠実に再現されている。
とてもインディーズ作品とは思えない忠実な作りに、驚きを隠せない。
ラヴクラフト作品をよく理解した人たちが集まって作ったに違いない。
アミの友人である農場の一家が、隕石落下の影響によって日常が破滅していく様は、小説での表現とはまた違う緊迫感と恐怖があり、ぞくぞくとさせる。
一部カラーだが、どこがカラーになるかは、ファンには言わなくてもわかるだろう。
「闇に囁くもの」(2011年 アメリカ)
白黒作品。
ミスカトニック大学の民俗学者がたどる悲劇の物語である。
ある男性から、謎の生物に関する報告を受ける。
最初は懐疑的なものの、ついに、その男性と会う決意をした主人公は、その背後に渦巻く宇宙の真実に戦いを挑むのだが・・・。
原作をモチーフに、一部オリジナルの展開と原作とは違うエンディングを迎える。
原作は、「事実かペテンか」という謎を残すが、こちらは「それ」が完全に正体を晒し、主人公が挑み、敗北するという結末になる。
とはいえ、ラヴクラフトテイストは損なっていないので、ファンでも違和感なく観られるだろう。
「菊池秀行×朝松健 クトゥルー対談」
日本の怪奇小説作家の大御所二人の対談。
あることがあってから、「何事も一期一会」と考えるようになった俺は、こうした機会はなるべく参加するようにしている。
いや~、冒頭から朝松氏の毒舌が火を噴き、菊池氏が苦笑いするという、面白い展開w
最初はクトゥルーから脱線しまくりだったのだが、業界の裏話という貴重な話しが聞けてよかったw
その後は、これまで世に出たクトゥルー映画を紹介しつつ寸評を入れるという形で、あっという間にトークショーは終わってしまった。
・・・と、偉そうなことを言っているが、実は俺、両氏の名前や作品名は知っているのだが、読んだことがない。
いずれ読もうとは思っていたのだが、何分、活字が苦手なもんでな・・・。
しかし、両氏からその場で名前を入れてもらう形で直筆サイン本を購入できたので、これを機会に両氏のクトゥルー作品に触れてみたいと思う。
