新文芸坐ではゴジラばかり観ているわけではないw
面白そうな映画がやってて、予定が空いてれば、どんなジャンルのものでも見に行っている。
今回観に行ったのは、「ファーストマン」と「ザ・ギルティ」である。
早速紹介しよう。
「ファーストマン」
月に初めて降り立ったニール・アームストロング船長の視点で描かれる、アポロ宇宙計画の物語である。
アポロ計画の前段階の実験などの描写はもちろんだが、特筆すべき点は、家族にも焦点を当てていることが挙げられる。
ニール船長の単なる成功物語ではなく、その裏で、彼や彼の家族の心の葛藤や心情の変化などが丁寧に描かれている。
ニールの妻・ジャネットが「戻ってこれなかったときの覚悟を、子どもたちに話して。あなたから」というシーンは、とても印象深い。
練習中の事故で無くなる乗組員の描き方も、淡々と描いている。
むやみにドラマティックに描いていない。
また、人種間の差別や、宇宙計画にかける予算・税金の是非についても触れられている。
今の日本のドラマや映画に欠けているものが、洋画には随所にちりばめられている。
「ザ・ギルティ」

デンマークの緊急ダイヤル(112番)・担当官が主人公のサスペンス映画である。
どうやら日本の警察の110番のシステムとは少し違うらしく、112番にかけると、その時点で電話ををかけた人物の居場所(携帯電話の基地局)や様々な個人情報が判別するらしい。
そこから担当官が話を聞き、パトカーや救急車を向かわせるシステムのようだ。
作中の担当官は最初から担当官なのではなく、何か問題を起こし、この部署に異動させられ、かつ裁判を待つ身であるのが冒頭でわかる。
また、周囲のメンバーとの関係もあまりよくないらしいことがわかってくる。
そして、緊急ダイヤルに女性から電話がかかってくる。
状況から、車で拉致されたらしいこと、拉致した相手は元・夫であること、女性には子どもがいることがわかってくる。
担当官の判断材料は「音」と「声」である。
ここから、この女性の居場所を特定し、保護しなければならない。
だが、物語の中盤を過ぎた辺りで、驚愕の事実が判明する。
そして、この担当官がどんな問題を起こして、どんな秘密を持っているのかというのもわかってくる。
これ以上は、ネタバレになるので詳細は控えるが、緊急ダイヤルという一室のみで撮影が行われた低予算映画であるにも関わらず、緊迫感のある作品に仕上がっているのはとても好感が持てる。
俳優の演技も申し分ない。
こうした映画が日本国内であまり話題にならず、大した内容もないアニメ映画やマンガ原作の映画、予算だけかけた頭でっかちの名ばかり大作映画がちやほやされ、演技力や実力も無い俳優もどきやタレント、芸人を多用する現状を何とかしないと、日本のエンタテインメントはどんどん衰退していくことだろう。
もはや手遅れかもしれないが・・・。
「ザ・ギルティ」という映画から学ぶものはとても多い。

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